読書記録 008 「透明な螺旋」(東野圭吾著)

書籍名

透明な螺旋

著者

東野圭吾

出版社

文藝春秋

読書動機

東野センセの作品はずっとコンプリートしてきましたが、あまり時間がとれなくなった2020年頃からご無沙汰していました。今回、心に潤いが欲しくて(笑)、読んでない作品を久しぶりに手に取ってみました。

気づき3点

1.安定・安心の文章

東野センセの書かれる文章はとても平易です。それ故、とても読みやすいです。しばらくぶりのセンセの本でしたが、今回読んでみて日本語の分かりやすさ、読みやすさに改めて感心しました。そして、それら文章で構成された文体は私の身体と心にマッチしています。だから、センセの本をこれまでずっと読み続けてこられたのだろうと思います。文章、文体から映像が頭の中にすっと浮かぶんですよね、ほんと、不思議です。

 

2.当代随一のストーリーテラー

少ない登場人物の中で、横に伸びる糸がいつの間にか縦にも絡み合い、それらが、最終的に重層的な構図となっていきます。だから「透明な螺旋」というタイトルなのだなと読後に気づきます。この作品はミステリーですが、センセの作品の中では謎解きの部分は比較的単純です。一方、その謎解きの背景がとても複雑な人間模様をはらんでいます。もし、この作成を映像化するなら、オズの魔法使い方式を使ったモノクロ映像を多用してほしいなと思いました。

 

3.泣けました(涙)

バーのママさんに感情移入して泣けました。特に、私から見て異性となる人物へは、特にその心境を理解しようとし過ぎるのか、余計に感情移入してしまっている自分がいます。私が今回感情移入したバーのママさんは、作品の中での置かれた状況は幼少期から現在に至るまで決して恵まれているとは言えません。しかし、心に大事なものを持って生きることの大事さを教えてくれているように思えます。「大事な人がいる」「そう思える」「思っていたい」という感情は人が生きる上での生きがいのようなものなのだと思いました。センセ、今回も素晴らしい作品をありがとう!!

 

 

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