第95回 日本産業衛生学会/参加 03@オンデマンド
日本産業衛生学会@高知のオンデマンド配信を少しずつ視聴しております。今回は特に印象深かった口演についてアウトプットしたいと思います。
メインシンポジウム 1
新しい時代の働き方と産業保健
MS01-1 VR がもたらす人の心理,行動の変容
繁桝 博昭(高知工科大学 情報学群)
MS01-2 新しい時代の働き方
山口 征浩(株式会社 Psychic VR Lab)
MS01-3 社会の変革に対応できる産業保健の考え方
森 晃爾(日本産業衛生学会 理事長)
このメインシンポジウムで興味深かったのは2題目のメタバースに関する口演でした。演者の山口先生はメタバースを社会実装するための会社の代表者をされております。肝心の内容は、その会社についての話題提供でしたが、はっきり言いますと衝撃的な内容でした!!
・応募者の実名も顔も分からずに仮想空間で面接して社員として採用(ただし、雇用契約時は本名で契約とのこと)
・入社式はメタバースで実施
・入社式の参加者はアバターで出席
・これらを踏まえ、従来の事業者と労働者の関係性、考え方が変わってきた
などなど。
フィジカルな現実世界と仮想現実世界(これもある種の情報化された現実世界とも言えるるのかな)が重なってきつつある現状が良く分かりました。今は、仮想現実世界を個人の選択肢として選ぶ必要は必ずしもありません。しかし、近い将来、我々は仮想現実でも生きていく必要性が出てくるのだろうなと感じました。その時には、メタバースの中では労働という概念も当たり前のように出てくるのだろうと思います。そうなると、メタバースでの労働衛生をどのように考えていくのか?そこに労働衛生コンサルタントはどのように関与できるのか?ということも考えさせられる内容でした。
そして、3題目の森会長による口演も興味深い内容でした。
産業保健の発展段階の考え方としての第1世代から第3世代の捉え方はとても的を得ており、重要な提言と感じました。今はようやく第2世代の自律管理への移行をしつつある時期であり、今回のメタバースのような世界は第3世代としての考え方になり、それらの移行過程においては、これまでのハザード・リスク管理などの考え方がある程度は適用できるのではないか、そして、それに加えて今後は現場で発見したことをしっかり生かしていくべきであり、変化にしっかり対応していくべきだ、との考え方も良く分かりました。
さらに、このシンポジウムをメインシンポジウムと位置付けた学会にもいろいろな意味で敬意を表したいと思います。
以上のように、このメインシンポジウムを聴講することで私の視野は大きく広がりました。YouTuberなど、ひと昔前には考えられなかったことが今や仕事として成立しています。メタバースでの労働もすぐそこに来ている印象をうけました。そこに、一個人として、コンサルとしてどのように関わっていくのかを意識していきたいと思いました。
第95回日本産業衛生学会のオンデマンド配信は6月30日までありますので、ご興味のある方は視聴されては如何でしょうか。
ということで、今日はここまで。