令和3年度労働衛生コンサルタント試験/問題・正答公表 04
安全衛生技術試験協会HPに、令和3年度労働衛生コンサルタント試験の問題と正答が公表されていました。
前回までで、衛生一般、法令、労働衛生工学の選択問題についての印象を一通りアウトプットしましたが、今回は、どうしても気になることがあったのでそのことをアウトプットしてみたいと思います。
そのどうしても気になることというのは、Covid-19による病原体による疾病が、筆記試験問題に反映されていたのか否かということです。
その前に、労働衛生の観点から、Covid-19が与えたインパクトを見てみましょう。
「労働衛生のしおり 令和3年度」(中央労働災害防止協会)によると、疾病分類別業務上疾病者数は以下の通りとなっています。数字は令和2年度のもの、括弧内の数字は令和元年度のものです。
負傷に起因する疾病 :6,533名(6,015名)
物理的因子による疾病 :1,214名(1,118名)
作業態様に起因する疾病 :462名(457名)
化学物質による疾病 :241名(220名)
じん肺およびじん肺合併症:127名(164名)
その他の疾病 :6,461名(336名)
「その他の疾病」以外、令和2年度は前年度とほぼ同じ傾向を示しています。一方、「その他の疾病」が異様に増加しているのが分かります。これは、当該年度猛威を振るったCovid-19による疾病が含まれているからです。
この「その他の疾病」をもう少し細かく見ますと、業務上疾病発生状況(令和2年)では、「病原体による疾病」として6,291名となっています。ちなみに令和元年度は113名でしたから、実に6,000名以上増加しています。勿論、このほとんどがCovid-19による疾病であるのは明らかです。
前置きが長くなりましたが、このことが果たして労働衛生コンサルタントの筆記試験で問われていたのかをどうしても知りたかったのです。
結論から申し上げますと、私が調べた限りでは、衛生一般、法令、労働衛生工学のいずれの科目にも出題されていませんでした。
念のため、健康管理区分の専門科目である健康管理の問題もざっと見ましたが出題はありませんでした(ちなみに健康管理の問題は労働衛生工学の問題に比べて易しい印象を持ちました)。
衛生分野でこれだけインパクトがあったにも関わらず、何で出題されなかったのでしょうか?
私はてっきり何等かの形で出題されるものと思っていました。筆記試験で問われないとしたら口述試験ではどうなのでしょうかねえ。
筆記試験で出題されなかった意図は分かりませんが、自分なりの仮説がいくつかあります。そのうちの一つは、健康管理の問題が易しいと感じたことと無関係ではありません。ただ、仮設についてはいつか落ち着いてからアウトプットしてみたいと思います。
ということで、今日はここまで。