放射性同位元素の下限数量について 01

今回から数回に渡って「放射性同位元素の下限数量」について調べたことをアウトプットしてみたいと思います。

 

調査の目的は、下限数量については知っているつもりだったのですが、訳あって詳しく調べてみることにしました。その訳とは、下限数量と被ばくとの関連性について知ることです。

 

今回は非密封線源について調べてみますので、特に断らない限り、以下、放射性同位元素(あるいは放射性物質)は非密封線源のことを指します。

 

さて、下限数量という言葉が出てくるのは「放射性同位元素等の規制に関する法律施行令」第1条です。

 

(放射性同位元素)

第一条 放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号。第二十条の三第二号及び第二十条の四第一号を除き、以下「法」という。)第二条第二項の放射性同位元素は、放射線を放出する同位元素及びその化合物並びにこれらの含有物(機器に装備されているこれらのものを含む。)で、放射線を放出する同位元素の数量及び濃度がその種類ごとに原子力規制委員会が定める数量以下「下限数量」という。及び濃度を超えるものとする。ただし、次に掲げるものを除く。

 

ここに下限数量という言葉が出てきます。ここでは放射性同位元素を定義していますので、放射線を放出する同位元素の数量及び濃度がその種類ごとに原子力規制委員会が定める数量及び濃度を超えるものであると定義されています。ここにある原子力規制委員会が定める数量及び濃度が即ち下限数量な訳ですね。

 

つまり、

 

放射性同位元素>下限数量

 

という関係が成り立つ訳です。

 

逆の言い方をすれば、下限数量以下であれば放射性同位元素ではない訳です。

 

では、下限数量の実際の量及び濃度はどれくらいなのかな~、調べたいな~と思うのですが、それが「原子力規制委員会が定める数量」という訳でして、この政令には出てきません。よくあるパターンですね。

 

そこで調べてみますと、「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号)」という告示で規定されていることが分かりました。

 

「放射線を放出する同位元素の数量及び濃度」は同告示第1条第2項に規定されています。

 

二 放射線を放出する同位元素で密封されていないもの 工場又は事業所に存する放射線を放出する同位元素の数量及び容器一個に入つている放射線を放出する同位元素の濃度について、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める数量及び濃度

イ 放射線を放出する同位元素の種類が一種類の場合 別表第一の第一欄に掲げる種類に応じて、同表の第二欄に掲げる数量及び同表の第三欄に掲げる濃度

ロ 放射線を放出する同位元素の種類が二種類以上の場合 別表第一の第一欄に掲げる種類ごとの放射線を放出する同位元素の数量のそれぞれ同表の第二欄に掲げる数量に対する割合の和が一となるようなそれらの数量及び同表の第一欄に掲げる種類ごとの放射線を放出する同位元素の濃度のそれぞれ同表の第三欄に掲げる濃度に対する割合の和が一となるようなそれらの濃度

 

規程の細かい意味はさておき、数量及び濃度の詳細値は別表第一に掲載されています。主な放射性同位元素について抜粋します。

 

核 種 化 学 形 等 数量

(Bq)

濃度

(Bq/g)

3H 1×1e9 1×1e6
14C 一酸化物及び二酸化物以外のもの 1×1e7 1×1e4
125I 1×1e6 1×1e3

 

例えば、3Hであれば下限数量は1×1e9 Bq(=1,000,000,000 Bq)なので、これより数量が多い3Hは放射性同位元素であり、これ以下であれば放射性同位元素ではないのです。

 

この数値の大きさを見て、多いなと思う方も居れば、少ないと思うか、何も思われない方、それぞれ居られるかと思います。この数値の大小の意味は後で調べてみたいと思いますが、ヒントになるのは、下限数量の値だけを比較すると3Hは14Cよりも大きいということです。数量だけでいうと3Hの方が100倍大きくなりますね。これは何を意味しているのでしょうか?

 

ということで今日はここまで。

 

次回は、下限数量についてもう少し深掘りしたいと思います。

 

 

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