放射性同位元素の下限数量について 02
前回から「放射性同位元素の下限数量」について調べたことをアウトプットしています。
調査の目的は、下限数量については知っているつもりだったのですが、訳あって詳しく調べてみることにしました。その訳とは、下限数量と被ばくとの関連性について知ることです。
前回記事では非密封線源の定義について調べてみました。今回もその続きです。なお、特に断らない限り、以下、放射性同位元素は非密封線源のことを指します。
さて、前回は「放射性同位元素等の規制に関する法律」での下限数量の定義を調べましたが、今回は「電離則」での定義を調べてみます。
ちなみに、「放射性同位元素等の規制に関する法律」と「電離則」は所管する監督官庁が異なります。前者は原子力規制委員会、後者は厚生労働省です。労働衛生コンサルタントには電離則の方が馴染み深いですね。
前置きがいつもながら長くなってしまいました(汗)。
さて、下限数量の定義について調べてみました。
結論から申しますと、電離則では下限数量という言葉は一切出てきません。しかし、その意味する放射性同位元素(電離則では放射性物質として定義されている)の量および濃度値は前回示した「放射性同位元素等の規制に関する法律」下の規定値と同じです。
この辺りを少しみて見ましょう。
電離則第2条第2項に放射性物質の定義規定があります。
(定義等)
第二条
2 この省令で「放射性物質」とは、放射線を放出する同位元素(以下「放射性同位元素」という。)、その化合物及びこれらの含有物で、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 放射性同位元素が一種類であり、かつ、別表第一の第一欄に掲げるものであるものにあつては、同欄に掲げる放射性同位元素の種類に応じ、同表の第二欄に掲げる数量及び第三欄に掲げる濃度を超えるもの
二以降(略)
規程の細かい意味はさておき、数量及び濃度の詳細値は別表第一に掲載されています。主な放射性同位元素について抜粋します。
核 種 | 化 学 形 等 | 数量
(Bq) |
濃度
(Bq/g) |
3H | 1×1e9 | 1×1e6 | |
14C | 一酸化物及び二酸化物以外のもの | 1×1e7 | 1×1e4 |
125I | 1×1e6 | 1×1e3 |
これらの値は、前回紹介した「放射性同位元素等の規制に関する法律」下の規定値と全く同じです。
ただし、これも上述の通り、これら値は放射性物質を量と濃度で定義するものであって、下限数量という言葉は使われていません。
しかし、意味合いとしては下限数量と考えて問題ありません。
その根拠は次回以降でアウトプットしたいと思います。
ということで今日はここまで。