厚労省/労働基準関係法令違反に係る公表事案

少し前の情報となりますが、11月30日付けの厚労省の公表情報の中に「労働基準関係法令違反に係る公表事案」がありましたので、ご紹介したいと思います。

 

「労働基準関係法令違反に係る公表事案」とは、その表書きに「各都道府県労働局が公表した際の内容を集約したもの」と書かれており、今回は「令和2年11月1日~令和3年10月31日公表分」となっております。これまでも、ある程度の期間毎にとりまとめられて公表されています。

 

さて、その内容ですが、表形式で取りまとめられており、企業名、所在地、公表日、違反法条、事案概要、その他参考事項が記載されています。

 

つまり、どこに所在するどんな企業が、いつ、どんな内容で、労働基準関係法令の第何条に違反し、どうなったか、が記載されています。

 

労働関係法令に違反すると、このように企業名が公表されるのですね。公表されると、その企業の社会的な信用は失墜します。その結果どうなるかというと、それは良いことは何も無い訳です。そうならないために、日夜、企業の経営陣、担当者、従業員は頑張っている訳です。勿論、そうならないようにというよりも、そうなってしまうと被災者自身が困ったり、その家族が困ったりする訳ですから、それを防止すると言った方がいいですね。

 

さて、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」の具体的な内容の一例を示します。

 

事案概要欄を上から下まで眺めていると、同じようなフレーズが多々出てきますが、その中でも多いのは下記のフレーズです。

 

4日以上の休業を要する労働災害が発生したのに、遅滞なく労働者死傷病報告書を提出しなかったもの

 

この場合の違反法条は「労働安全衛生法第100条、労働安全衛生規則第97条」となっています。

 

労働安全衛生法第100条は以下の通りです。

 

(報告等)

第百条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

2 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、登録製造時等検査機関等に対し、必要な事項を報告させることができる。

3 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

 

また、労働安全衛生規則第97条は以下の通りです。

 

(労働者死傷病報告)

第九十七条 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない

 

この内容から、特に労働安全衛生規則第97条の「遅滞なく提出」が遅れたことが原因で法令になったものだと解釈されます。

 

その結果、その他参考事項欄には「送検」の二文字があります。

 

「遅滞なく」に対して、実際にどの程度遅れたかまでは記載されていないため、その内容は伺い知れません。過去、このブログでも何回か「遅滞なく」について取り上げていますが、その時は字面通りの解釈に留まっています。

 

なお、当局によっては「遅滞なく」とは具体的に「●●」だとの解釈をいろいろな場で出している場合もあります。

 

このブログを読まれている方の中には、各種届出対応など対当局対応をされておられる方も多いと推察します。そのご経験の中で、「遅滞なく」の意味を理解されている方も多いと思います。

 

くどくど書きましたが、事案が発生したら遅滞なく報告すべきということですから、それを遵守すべきですね。

 

ということで、今日はここまで。

 

 

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