医療現場での被ばく管理の問題点@その5

医療現場での被ばく管理の実態についてまとめてアウトプットしています。

 

前回その4では、どうやったら医療現場での被ばく管理は適正化されるのかを下記2点のキーワードで考えてみるということで、前者の「医療現場における放射線取扱主任者の在り方の改革」について私なりの提言をしてみました。今回は後者の安全文化の構築について書いてみたいと思います。

  • 医療現場における放射線取扱主任者の在り方の改革
  • 安全文化の構築

 

安全文化の構築

 

安全文化とはチェルノブイリ原発事故を端緒にIAEAが報告書の中で用いたのが始まりと言われています。現在では、労働安全でも広く使われています。安全文化を育むとか、安全文化を築くとか言われますよね。

 

安全文化の定義もいろいろあるようですが、私が最も分かりやすい表現だなと思うのは「安全文化とは、組織の全員が、安全ということを特段意識しない状態でも安全行動ができ、安全に対して配慮できる風土である」でしょうか。

 

こういう状態が文化として組織に根付けば、不安全行動が減り、そのことによる災害も少なくなることが期待できます。

 

しかしながら、この安全文化が難しいところは「一朝一夕には築けない」ということです。安全文化を築くのには長い年月がかかります。それも放っておいて勝手に育まれるものではなく、経営者の強い継続的な信念の下、地道な取り組みを重ねていき、醸成していかないとできないものです。

 

そもそも安全文化のないところに根付かせようとすると、最初は、管理者が強権的な指導をする段階がどうしても必要となります。それが根付いてくると、次の段階として、個々の従業員の自律性に任せた取り組みの段階、その次には、そのさらに一歩上へと、という具合に段階を上っていくこと過程があり、その道筋には年単位、時には10年以上の歳月がかかるかもしれません。

 

前置きが長くなりましたが、医療機関は今回の被ばく管理の問題をきっかけに安全文化を築く必要があるということです。経営者にその発想を持っていただく必要があるのです。そうしないと、被ばく管理の不徹底により、医師、技師、看護師に放射線障害が多発する可能性もあるかもしれません。急性影響が出るほどではないかもしれませんが、晩発影響の懸念は否定できないと思います。

 

勿論、過去記事で書いてきた放射線取扱主任者である医師もそのことを認識する必要があります。放射線取扱主任者である医師は、管理者として、経営者の意思の下、現場で陣頭指揮をとる立場にあると言えるでしょう。

 

今からでも遅くは無いので、早急なる対策が必要です。切に願います。

 

ということで今日はここまで。

 

医療現場での被ばく管理の問題点を全5回に渡り書いてきました。どうしてもこの問題を書いていると個人的な思いがあり、熱くなってくるのですが・・・、それは最初から言うように「計画被ばくは管理することができる」という思いがあり、それを実現できていない医療現場に対してもどかしい思いがあるからなのです。今なら労働衛生コンサルタントとして如何様にも指導ができるのですが・・・。

 

ここでこのシリーズは一旦終了しますが、また、改めてこの問題については深掘りしていきたいと思います。

 

では。

 

 

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