局所排気装置の定期自主検査 その03

数回シリーズで、局所排気装置の定期自主検査についてアウトプットしています。

 

前回は法令上の定期自主検査の内容についてアウトプットしました。今回は定期自主検査指針の内容についてアウトプットしたいと思います。

 

その前に、当該指針が発出された通達を見てみましょう。その通達は基発第0327001号です。この中にある別添2-1が今回アウトプットする局所排気装置の定期自主検査指針になります。ちなみに別添2-2はプッシュプル型換気装置の定期自主検査指針、別添2-3は除じん装置の定期自主検査指針となっています。

 

さて、別添2-1の局排の定期自主検査指針ですが、以下の内容となっています。

 

Ⅰ 趣旨

Ⅱ 準備すべき測定器等

Ⅲ 検査項目等

Ⅳ 留 意 事 項

 

まずは、「Ⅰ 趣旨」について見てみましょう。

 

Ⅰ 趣旨

この指針は、有機溶剤中毒予防規則(昭和 47 年労働省令第 36 号。以下「有機則」という。)第 20 条、鉛中毒予防規則(昭和 47 年労働省令第 37 号。以下「鉛則」という。)第 35 条、特定化学物質障害予防規則(昭和 47 年労働省令第 39 号。以下「特化則」という。)第 30 条、粉じん障害防止規則(昭和 54 年労働省令第 18 号。以下「粉じん則」という。)第 17 条又は石綿障害予防規則(平成 17 年厚生労働省令第 21 号。以下「石綿則」という。)第 22 条の規定による局所排気装置の定期自主検査の適切かつ有効な実施を図るため、当該定期自主検査の検査項目、検査方法、判定基準等を定めたものである

 

これは読んで字の如くなので、余計な解説は不要と思われます。

 

次に、「Ⅱ 準備すべき測定器等」です。

 

局所排気装置の定期自主検査に際して準備すべき測定器等は、次のとおりとする。

1 必ず準備すべきもの

(1) スモークテスター

(2) 熱線風速計等直読式の風速計

(3) ピトー管及びマノメータ

(4) 温度計(表面温度計、ガラス温度計等)

(5) テスター

(6) スケール

(7) キサゲ、スパナ等の手回り工具

(8) テンションメータ

(9) 聴音器又はベアリングチェッカー

(10) 絶縁抵抗計

2 必要に応じて準備すべきもの

(1) 微差圧計

(2) テストハンマー又は木ハンマー

(3) 振動計

(4) 粉じん、ガス等の濃度測定器

(5) 回転計

(6) クランプメータ又は検電器

(7) その他(超音波厚さ計、特殊冶具等)

 

ここでは、「必ず準備するもの」と「必要に応じて準備するもの」が記載されています。何でこんな物が要るのか?と思うものもあるでしょう。キサゲなんて私も聞いたことなかったです・・・。これらが何のために要るのかは「Ⅲ 検査項目等」を読めば明らかになります。

 

さて、「Ⅲ 検査項目等」です。ここには検査項目、検査方法、判定基準が記載されています。検査項目は有機則第20条第2項に規定されている項目と一致しています。

 

(局所排気装置の定期自主検査)

第二十条 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第五条又は第六条の規定により設ける局所排気装置とする。

2 事業者は、前項の局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一 フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみその他損傷の有無及びその程度

二 ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態

三 排風機の注油状態

四 ダクトの接続部における緩みの有無

五 電動機とファンを連結するベルトの作動状態

六 吸気及び排気の能力

七 前各号に掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項

 

また、検査項目は細分化されています。例えば、「1.フード」なら、検査項目が下記4つに細分化されています。

 

(1) フードの構造及び摩耗、腐食、くぼみ等の状態

(2) 吸い込み気流の状態及びそれを妨げる物の有無

(3) レシーバ式フードの開口面の向き

(4) 塗装用ブース等のフィルタ等の状態

 

そして、各検査項目についていくつかの検査方法が記載されています。例えば、上記「(1) フードの構造及び摩耗、腐食、くぼみ等の状態」なら、下記3つの検査方法があります。

 

① スケールを用いてフードの寸法及び組立て状態を調べる。

② フードの表面の状態を調べる。

③ フード内部の状態を調べる。

 

そして、最後の判定基準ですが、検査項目毎に記載されています。例えば、上記の①②③には以下の判定基準があります。

 

① 寸法及びフランジ、バッフル板等が届出の状態に保たれていること。

② 次の異常がないこと。

イ 吸気の機能を低下させるような摩耗、腐食、くぼみその他損傷

ロ 腐食の原因となるような塗装等の損傷

③ 次の異常がないこと。

イ 粉じんやミスト等のたい積物がないこと。

ロ 吸込口に粉じんやミスト等による閉塞がないこと。

 

このようにして全ての項目について検査をすることができるようになっています。

 

ちなみに、前述のキサゲはダクトの「外面の摩耗、腐食、くぼみ等の状態」を検査するために使用することになっています。

 

ここで、お時間のある方は、一度、指針全体に目を通して見て下さい。

 

前回記事でも少し触れましたが、定期自主検査には資格は不要です(ここ、大事です、以降の内容を理解するためにも!!)。そして、誰でも定期自主検査ができるようにこの指針が存在する訳です。

 

実際に中身を見ていただいた結果、ご自身で定期自主検査はできそうでしょうか?

 

指針に書かれていることは、確かにこれをしっかりやれば検査ができるよねっ、という教科書的なことがしっかり書かれていると思います。しかし、これを読んでできる人っているのでしょうか?

 

次回はそのことを少し深堀してみたいと思います。

 

ということで、今日はここまで。

 

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