局所排気装置の定期自主検査 その04

数回シリーズで、局所排気装置の定期自主検査についてアウトプットしています。

 

前回は局所排気装置の定期自主検査指針の内容についてアウトプットしました。今回はこの指針を見て実際に検査ができるのか?ということについてアウトプットしたいと思います。

 

前回記事で「大事ですよ!!」と書いたことに、この定期自主検査は無資格で行えるということを強調しました。しかし、指針を読んだ限りそれを無資格で行うことは非常に難しいと感じました。

 

その理由をいくつか挙げてみました。あくまで私見ですので悪しからず。

 

  1. 局排のある程度の知識がないと指針を理解できない
  2. 実務として局排を使ったことが無いと指針を理解できない
  3. 仮に1,2が満たされていたとしても指針を完全に理解するのは難しい
  4. 同様に機械・設備の一般知識、実務経験が無いと点検は困難である

 

以下、私自身の経験を言いますね。

 

私は過去に囲い式フードの定期自主検査をしたことがあります。ただし、それはコンサルタント試験や衛生工学衛生管理者試験を受験するかなり以前の話でして、今は実施していません。

 

その頃は、この指針は読みませんでしたし、存在すら知りませんでした。結果の記録表があったので点検をしてみたということです。その時のおぼろげな記憶ですが・・・、その記録表はたった一枚の紙きれで、いくつかの点検項目が記載されていたと思います。しかし、前回記事でアウトプットした指針に書かれた詳細な検査項目、検査方法はなかったと思います。

 

その際に私が自ら実施したのは外観目視点検が可能な項目と風速測定だけでした。記憶は定かではありませんが、有機則第20条第2項の点検項目のうち、下記に示す赤字の部分だけだったと思います。

 

(局所排気装置の定期自主検査)

第二十条 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第五条又は第六条の規定により設ける局所排気装置とする。

2 事業者は、前項の局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一 フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみその他損傷の有無及びその程度

二 ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態

三 排風機の注油状態

四 ダクトの接続部における緩みの有無

五 電動機とファンを連結するベルトの作動状態

六 吸気及び排気の能力

七 前各号に掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項

 

つまり、ダクト、ファン、排風機、電動機の状態確認は自力ではできませんでした。理由は、それらが天井裏や屋上だったり、屋外の専用ゾーンだったり、物理的に一従業員が簡単に出入りできるゾーンには無かったためです。仮に見ることができたとしても、それらの状態確認は機器設備に疎い者には到底できるものではありません。さらにダクトの内部の確認などは最も困難を極める部分ではないでしょうか。

 

こんな状態でしたから、これら項目はどうしたかと言うと、それらを専門にメンテナンスしている部署の点検結果をかき集めてきたり、その部署の人にみてもらったりして何とか点検項目を満たすことができたのです。

 

今だから言えるのですが、当時一生懸命になって点検をしましたが、こんな点検には意味はないと思います。勿論、必要なことが満たされていれば何ら問題はないのです。言いたいのは、一つ一つの点検の意味も分からずに実施しても意味が無いということです。私が実施したのは点検記録の単なる空欄埋め作業なのです。

 

意味を分からずに実施した時に問題なのは異常を認めたときの対処です。その他、風速測定では囲い式フードにしろ外付け式フードにしろ、風速を測る位置がとても大事なのですが、例えば囲い式フードならフード開口面から僅かでも外側で測ると途端に制御風速に影響することは衛生工学のコンサルなら誰でも知っていることです。

 

このような遠い昔に経験をしたのですが、その後、コンサルタント試験を受ける前の私の状態は上記の3、つまり「3.仮に1,2が満たされていたとしても指針を完全に理解するのは難しい」状態だったと思います。仮にその時点でこの指針を見て自主検査ができたかというとかなりの部分はできなかったと思います。それは機械設備のことで理解が追い付かないなどの要因がありますが、何より点検の意味がその時点の私には理解できなかっただろうということです。

 

今、コンサルとなった私が改めてこの指針を見ると、すべての点検を自力ではできないにしても他人の力を使えば容易にできそうなことは分かります。また、点検の意味も理解できますし、指針には局排を維持する上で大事な点が書かれていることも十分に理解できます。

 

以上は私の例ですが、何が言いたいかというと、指針を見ただけで誰でも定期自主検査ができる訳ではなく、それ相応の力量が要るということです。

 

それを裏付けるようなことを一つ紹介したいと思います。

 

それはこの自主検査についての講習会のことです。講習会があることをご存じの方も多いと思います。講習会は各地域で実施されているので検索すれば容易に情報にアクセスすることができます。私が見た情報の中には有資格者でないと講習会に参加できないというものもありました。その有資格とは衛生工学衛生管理者や作業環境測定士の資格を有するということです。このシリーズの記事の中でも何度も触れているように定期自主検査には資格不要という法令の定めがありますが、それを行政に非常に近い立場の講習会主催者が無理だと言っているのです。

 

私は講習会に参加したことは無いので偉そうなことは言えませんが、実際に講習会に参加した方々の自主検査に立ち会って、話を伺ったことがあります。その方々はここでいう有資格者ではありませんでしたが、その際に感じたことは、講習会に参加すれば最低限度のことはできるようになるのだなということです。しかし、残念ながら点検の意味は十分に理解されておられませんでした・・・。

 

ということで、今日はここまで。

次回はこのシリーズのまとめです。

 

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)