拡散防止措置の知識整理@カルタヘナ法

災害・事故時の拡散防止措置対策

 

遺伝子組換え実験における災害・事故時の拡散防止対策について知識の整理を行いましたので、備忘目的で残しておきたいと思います。

 

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(いわゆるカルタヘナ法)の第2条第6項には第二種使用のことが、同第7項には拡散防止措置が定義されています。

 

6 この法律において「第二種使用等」とは、施設、設備その他の構造物(以下「施設等」という。)の外の大気、水又は土壌中への遺伝子組換え生物等の拡散を防止する意図をもって行う使用等であって、そのことを明示する措置その他の主務省令で定める措置を執って行うものをいう。

7 この法律において「拡散防止措置」とは、遺伝子組換え生物等の使用等に当たって、施設等を用いることその他必要な方法により施設等の外の大気、水又は土壌中に当該遺伝子組換え生物等が拡散することを防止するために執る措置をいう。

 

これに基づき、遺伝子組換え生物を第二種使用する際には拡散防止措置を執る必要がある訳ですね。

 

次に具体的な措置について考えてみたいと思います。

 

自然災害対策

 

自然災害としては大規模地震対策を真っ先に考える必要があります。南海トラフ地震は今後30年以内に発生する可能性が高いと言われています。過去事例では阪神大震災への経験があります。その経験を基に対策を考える必要があります。

 

ポイントとなるのは、建物の耐震対策、施設内の機器等の固定、安全キャビネット等の配管構造を衝撃吸収構造とすること、薬品の備蓄量を最小限にすること、扱っている遺伝子組換え生物に対して最も有効な滅菌対策を用意しておくことなどです。特に最後の滅菌対策については個別対策とは別に総合的な規制・対策を策定することが重要ですね。

 

管理体制

 

遺伝子組換え生物の封じ込めを確実に行うためには、組織内に管理部署が設置され、管理規定が整備されていることが必要です。規定には大規模災害を想定した体制を盛り込むことが重要ですね。

 

ポイントは、遺伝子組換え生物の種類と量の特定およびそれらの出納管理、出納管理台帳の作成と複数人での確認(性悪説対策)、遺伝子組換え動物の場合には個体数の把握です。

 

これら管理体制を整備するのは重要なことですが、最も大事なのは「意識してしっかり実施すること」なのではないかと思います。

 

管理体制を作り、規定を整備する段階は、意識が高くなっている段階です。しかし、一旦策定されたものを当初の意識のまま運営していくのは意外に難しいものです。規定に落し込めば後は機械的に管理することもできますが、本来の目的が伝承されていなければ何のためにやっているのかが希薄になり、引いては規定そのもののが軽視され、守られなくなることもあるかもしれません。特に責任者や担当者が代わった時などは要注意ですね。

 

災害時を意識した管理体制とPDCAによる体制強化

 

上記に書いた内容は平時におけるものです。実際に災害が起きた後では災害時対策が必要になってきます。その時には、法第2条第6項の規定の通り、施設、設備その他の構造物の外に漏出させないことが重要です。

 

災害時対策をしようと思えば、まずは土台となる規定、マニュアルを整備し、訓練を繰り返すことで問題点を抽出し、改善し、規定、マニュアルに反映させるというPDCAを繰り返し、体制強化を図る必要があります。

 

PDCAの回した数だけ、良いものができると思われます。

 

最後に余談です。

 

コロナ禍にある昨今、バイオセーフティへの要求は、日に日に増しています。私は労働衛生コンサルタント(になったばかりの卵ちゃん)ですが、バイオセーフティ主任管理者(バイオメディカルサイエンス研究会)でもあります。上記のような拡散防止措置にも対応できるように日々研鑽を積み重ねて、コンサルティングができるようにしておきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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