労働者を機械等による危険から守る/安衛法/その2

今回は、前回に引続き労働安全関係法令についてプチアウトプットしたいと思います。

 

取り上げる内容は、安衛則第108条に規定される「刃部の掃除等の場合の運転停止等」についてです。早速、条文から見ていきましょう。

 

(刃部の掃除等の場合の運転停止等)

第百八条 事業者は、機械の刃部の掃除、検査、修理、取替え又は調整の作業を行うときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。

2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

3 事業者は、運転中の機械の刃部において切粉払いをし、又は切削剤を使用するときは、労働者にブラシその他の適当な用具を使用させなければならない

4 労働者は、前項の用具の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない

 

参考として、前回取り上げた則第107条「掃除等の場合の運転停止等」を再掲します。

 

(掃除等の場合の運転停止等)

第百七条 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。

2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

 

前回取り上げた則第107条第1項の「機械(刃部を除く。)の掃除」という条文を見ておやっと思った方がいるかもしれません。何で刃部を除くのだろう?と。

 

でも、勘の良い方なら分かりますよね、刃部の掃除は危ないだろうから、きっと別に規定されているのだろうと。その通りですっ!! それが則第108条になります。

 

さて、その則第108条ですが、第1および第2項の内容はほぼ則第107条と同じ内容ですし、何で条文として別建てされているのかも刃部での危険性の高さからイメージもしやすいと思います。

 

則108条が則107条と大きく異なるのは第3および4項があることです。刃部の危険性から、第3項では刃部で発生する切り屑を払った上で、刃部を磨くときには手ではなく適用な用具を使用させなさいと言っています。さらに、第4項ではその用具の使用を命ぜられた労働者は使用しなければならないと規定されています。

 

この第3および4項の主語に注目して下さい。第3項は「事業者は」、第4項は「労働者は」となっています。安衛法ではその大部分を事業者の義務として規定していますが、このように一部は労働者の義務として規定されています。つまり、いくら事業者が法令に準拠し、「このブラシを使いなさい」と言っても、それを使う側の労働者が「使いたくない」となったら法令の実効性が担保されません。その結果、この労働者はきれっきれの刃部でケガをするかもしれませんよね。このように特に労働者に守ってもらいたいものは条文として規定されている訳です。

 

ということで、今日はここまで。

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)