放射性同位元素の下限数量について 04

「放射性同位元素の下限数量」について調べたことをアウトプットしています。

 

調査の目的は、下限数量については知っているつもりだったのですが、訳あって詳しく調べてみることにしました。その訳とは、下限数量と被ばくとの関連性について知ることです。

 

前回は下限数量の意味の調査に着手し、IAEAの免除レベルという考え方を下限数量として取り入れたところまでの調査を示しました。

 

今回は、その続きとして免除レベルのことをアウトプットしたいと思います。なお、特に断らない限り、以下、放射性同位元素は非密封線源のことを指します。

 

さて、前回記事では「放射線審議会基本部会報告書「規制免除について」(2002年10月17日)」が、中々のボリュームで、且つ、難解でしたため、この報告書の概要を示した文書として、「IAEA国際基本安全基準(BSS)の規制免除レベル(放射線審議会基本部会報告書「規制免除について」の概要)平成14年11月」が見つかったことを示しました。

 

早速、その中身をみて免除レベルのことを説明したいと思います。私自身の勉強を兼ねてです。

 

まず、免除レベルの正式な名称ですが「国際基本安全基準免除レベル」ということだそうです。以降は免除レベルという言い方を踏襲したいと思います。

 

その免除レベルですが、以下の通りとなります。

 

①規制を免除する核種毎の放射能(Bq) 、放射能濃度(Bq/g)の具体的な数値基準である。

 

解説:これまで見てきたように「下限数量=免除レベル」なので、この①の説明は特段の追加説明は不要だと思いますが、もう少し付け加えますと「放射性同位元素(放射性物質)>下限数量=免除レベル≧放射性同位元素(放射性物質)ではない」となりますね。

 

②被ばく線量基準(実効線量)を通常時では年間10μSv、事故時では年間1mSvと定めた上で、核種毎の違いや一定の被ばくシナリオに基づいて国際機関が科学的根拠に基づいて設定したもの

 

解説:①の免除レベルを決めるに至った経緯として②に示すように、まず通常時と事故時の被ばく線量を許容できる範囲を設定し(下記表参照)、それをいくつかのばく露シナリオに基づいて計算して①の免除レベルの数値を求めています。

 

免除レベル算出のための線量規準(欧州委員会文書(RP-65)より)

  線量規準(mSv/年)
実効線量 皮膚の等価線量
普通の状況(通常) 0.01 50
最悪の状況(事故) 1 50

 

簡単ですが、免除レベルのことは以上となります。

 

ただ、もう少し深掘りして、免除レベルの国内法令取り入れの目的と必要性をみて見たいと思います。

 

それは、我が国の放射性同位元素に対する安全規制の体系がより科学的かつ合理的なものとなり、放射性同位元素の貿易や国際輸送の円滑化、安全性の向上が図られることから、世界共通の基準を取り入れることが必要、との観点だったようです。

 

もう少しかみ砕いて言うと、免除レベル取り入れ以前の国内での定義数量は、米国、欧州などと違い、密封と非密封の放射性同位元素で規制の対象とする数量を区分していました。それはそれで十分機能してきたと解されています。

 

しかし、国際機関等で合意された免除レベルを各国が取り入れることは、放射性同位元素の貿易や輸送を円滑かつ安全に行う上でも適切であるとの認識に立ち、国際基本安全基準に示された免除レベルを前提に、国内事情を考慮した免除レベルの試算を行い、国内法令への取り入れ方を検討しています。

 

その結果、国際基本安全基準免除レベルとワーキンググループの免除レベル試算値とを比較し、評価した結果、国内法令に国際基本安全基準免除レベルを取り入れても、問題は無いと判断される、との結論に至ったようです。

 

これで、免除レベルと国内法への取り入れの経緯が大体分かりました。

 

ということで今日はここまで。

 

 

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