有機溶剤中毒予防規則/適用除外規定 03
数回シリーズで有機溶剤中毒予防規則(以下、有機則)の適用除外規定についてインプットしたことをアウトプットしたいと思います。
前回記事(2022年1月12日)では有機則第2条第1項の柱書以降の各号列記の部分のうち、第1号の解釈を分かりやすくしてみました。
今回は、前回記事で触れた第1号の中の「タンク等の内部」の解釈についての補足説明をしたいと思います。
前回と同じく有機則第2条第1項第1号の規定をみてみましょう。
第二条 (柱書略)
一 屋内作業場等(屋内作業場又は前条第二項各号に掲げる場所をいう。以下同じ。)のうちタンク等の内部(地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部、保冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部又は前条第二項第三号から第十一号までに掲げる場所をいう。以下同じ。)以外の場所において当該業務に労働者を従事させる場合で、作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量が、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる式により計算した量(以下「有機溶剤等の許容消費量」という。)を超えないとき。
(表省略)
この赤字部分が「タンク等の内部」の説明であり、前回記事ではこれを「通風が不十分な作業場」と言いました。これについては通達で解釈例規が出ておりますので、それについてみてみましょう。
その通達とは「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令の施行について」(基発第479号 53.8.31)のことです。
当該通達の中の「第二 細部事項」「Ⅱ 有機溶剤中毒予防規則関係」に「タンク等の内部」の解釈例規があります。
2 第二条関係
(1)(略)
(2) 第一項第一号の「タンク等の内部」とは、屋内作業場等のうち、通風が不十分な場所をいうものであること。
ここには、ズバリそのものが書かれていますね。つまり「タンク等の内部」=「屋内作業場等のうち、通風が不十分な場所」のことです。
また、赤字の括弧書き部分の解釈例規も同通達に出ておりますので、ご参考までに掲載しておきたいと思います。
(3) 第一項第一号の「屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所」とは、具体的には、屋内作業場又は船舶若しくは車両の内部のうち通風が不十分ではない場所をいうものであること。
(4) 第一項第一号中「通風が不十分な屋内作業場」とは、天井、床及び周壁の総面積に対する直接外気に向つて開放されている窓その他の開口部の面積の比率(開口率)が三%以下の屋内作業場をいうものであること。また、「通風が不十分な船舶の内部」及び「通風が不十分な車両の内部」についても同様に取り扱うこと。なお、屋内作業場が第七条に該当する場合は、当該屋内作業場の空気を外気とみなして差し支えないこと。
(5) 今回、作業場の気積の値に上限を定めたのは、気積の大きな作業場では、それに比例して許容消費量の値も大きくなるが、実際には有機溶剤が作業場全体に拡散せず、当該有機溶剤の空気中の濃度が局所的に高濃度になるおそれがあるためであること。
今回、「タンク等の内部」に拘って敢えて解釈例規を出した理由を申し上げますと、個人的にはこの解釈をしっかり理解しておくことはコンサルタントとして重要と感じたからです。
労働衛生コンサルタント試験を受験された方、あるいは、これから受験されようとして勉強に励んでおられる方の中には「タンク等の内部」は頻出表現であると認識されている方も多いと思います。
つまり、「タンク等の内部」=「屋内作業場等のうち、通風が不十分な場所」をしっかり理解しておくことは労働環境を改善するための労働衛生工学的な発想の重要な一部だと思うのです。
前回も申し上げた通り、通風が不十分な場所ということは、換気が十分に行われない場所となりますから、そのような場所では有機則の適用は免れないのよ、ダメよダメダメとなる訳です(少し古かったですか・・・久々に汗)。ただし、この場合も厳しくはなりますが、適用除外規定があります。それは次回以降で触れたいと思います。
ということで、今日はここまで。
次回は続きをアウトプットする予定です。
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