改正電離則 おさらい②

今回、改めて非密封RIとX線装置に関して、改正電離則の関係個所を調べる機会がありましたので、改正ポイント以外も含めて個人的に気になった部分や気づきを、何回かに分けて備忘的に記載したいと思います。

 

前回記事では定義関係について記載しました。

 

今回は、被ばく限度から書いてみたいと思います。

 

被ばく限度は第4条から第7条にかけて書かれていますが、ここでは改正電離則の目玉改正である眼の水晶体の被ばく限度値が下がった(より厳しくなった)ことが分かります。ちなみに改正前は一年間につき150 mSvでした。

 

第五条 事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては五年間につき百ミリシーベルト及び一年間につき五十ミリシーベルトを、皮膚に受けるものについては一年間につき五百ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない

 

次は線量の測定です。

 

第8条に書かれていますが、ここでは、内部被ばくの測定について実測なのか計算でも良いのか、どのように書かれているのかを見てみたいと思います。

 

第8条第1項では内部被ばく測定をしなければならないと書かれています。

 

第八条 事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的に立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない

 

内部被ばく測定の頻度については同条第4項に記載があります。

 

4 第一項の規定による内部被ばくによる線量の測定は管理区域のうち放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある場所に立ち入る者について、三月以内(緊急作業に従事する男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性、一月間に受ける実効線量が一・七ミリシーベルトを超えるおそれのある女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)並びに妊娠中の女性にあつては一月以内)ごとに一回行うものとする。ただし、その者が誤つて放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取したときは、当該吸入摂取又は経口摂取の後速やかに行うものとする。

 

これによると、非密封RIの取扱い業務は吸入および経口摂取のおそれありとなるため、3か月以内ごとに1回の測定となりますね。一方、X線装置については、吸入および経口摂取のおそれなしとなるため、測定は不要と読めます。

 

そして、内部被ばく測定の方法は同条第5項に規定されています。

 

5 第一項の規定による内部被ばくによる線量の測定に当たつては厚生労働大臣が定める方法によつてその値を求めるものとする

 

つまり、この条文だけでは分からないので「厚生労働大臣が定める方法」なるものを調べないといけません。しかし、それがどこに定められているのかはこの条文を読んだだけでは分かりませんよね。この辺りが法令の読み解きで難しい部分だと常々感じています(お馬鹿な私だけかな・・・脇汗)。

 

で、調べてみますと「厚生労働省告示第一六九号」が当該測定法を規定した最新告示として出されています。題名は「電離放射線障害防止規則第三条第三項並びに第八条第五項及び第九条第二項の規定に基づく厚生労働大臣が定める限度及び方法」となっています。

 

その告示第2条に内部被ばくの測定法が計算による方法と規定されています。

 

内部被ばくによる線量の計算方法
第二条 規則第八条第五項の厚生労働大臣が定める方法は、別表第一の第一欄に掲げる核種及び化学形等ごとに、次の式により内部被ばくによる実効線量を計算する方法とする。この場合において 、吸入摂取し、又は経口摂取した放射性物質が二種類以上であるときは、各放射性物質ごとに計算した実効線量を加算することとする。
Ei=eI
ものとする。
Ei 内部被ばくによる実効線量(単位 ミリシーベルト)
e 別表第一の第一欄に掲げる核種及び化学形等に応じ、吸入摂取の場合にあつては同表の第二欄、経
口摂取の場合にあつては同表の第三欄に掲げる実効線量係数(単位 ミリシーベルト毎ベクレル)
I 吸入摂取し、又は経口摂取した放射性物質の量(単位 ベクレル)

 

内部被ばくは外部被ばくと異なり実測は容易ではありません。そこで、計算による方法とされている訳ですね。

 

そして、その測定結果の記録は則第9条第2項で規定されている通り、30年間保存です。この保存期間は、労働衛生コンサルタント試験でも良く出されますので要チェックです。

 

第九条 事業者は、一日における外部被ばくによる線量が一センチメートル線量当量について一ミリシーベルトを超えるおそれのある労働者については、前条第一項の規定による外部被ばくによる線量の測定の結果を毎日確認しなければならない。
2 事業者は前条第三項又は第五項の規定による測定又は計算の結果に基づき、次の各号に掲げる放射線業務従事者の線量を、遅滞なく、厚生労働大臣が定める方法により算定し、これを記録し、これを三十年間保存しなければならない。ただし、当該記録を五年間保存した後において、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。

 

さらに、同条第3項の規定に基づき、測定結果を遅滞なく放射線業務従事者に知らせなければなりません。

 

3 事業者は、前項の規定による記録に基づき、放射線業務従事者に同項各号に掲げる線量を、遅滞なく、知らせなければならない

 

今日はここまで。

 

次回は外部放射線の防護関係から書いてみたいと思います。

 

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