改正電離則 おさらい⑤

今回、改めて非密封RIとX線装置に関して、改正電離則の関係個所を調べる機会がありましたので、改正ポイント以外も含めて個人的に気になった部分や気づきを、何回かに分けて備忘的に記載したいと思います。

 

前回記事では汚染の防止措置について記載しました。

 

今回は、特別教育について書いてみたいと思います。

 

則第56条の5は特別教育について規定されています。同第2項が少々ややこしく、この規定だけでは何のことやら分からないのですが、実は重要なことが書かれていますので、一つ一つみていくことにします。

 

第五十二条の五 事業者はエツクス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、特別の教育を行わなければならない
一 透過写真の撮影の作業の方法
二 エツクス線装置又はガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法
三 電離放射線の生体に与える影響
四 関係法令

2 安衛則第三十七条及び第三十八条並びに前項に定めるほか、同項の特別の教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める

 

則第56条の5第1項は特別教育の対象が規定されています。つまり、X線装置関係では特別教育が必要な訳です。

 

次に、同第2項に規定された安衛則を見ますと、安衛則第37条は省略規定、第38条は教育記録の保存の規定となっています。

 

安衛則

特別教育の科目の省略
第三十七条 事業者は、法第五十九条第三項の特別の教育(以下「特別教育」という。)科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる

特別教育の記録の保存
第三十八条 事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを三年間保存しておかなければならない。

 

省略でポイントとなるのは「科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者」の捉え方です。何をもって「十分なのか?」が問われるのです。これについては、事業所ごとの考え方に応じて定義するしかありません。後々、問われてもよいように事業所内規定に落し込んでおくのがbetterと思われます。

 

ただし、根拠を定義し、それを明文化するのは難しいのです。ではどうしたらよいのか?となりますが、結局は、省略せずにしっかり則第56条の5の要件を満たすように教育をすれば良いのです。

 

そこで、則第56条の5第1項に規定された科目を再度見てみたいと思います。

 

一 透過写真の撮影の作業の方法
二 エツクス線装置又はガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法
三 電離放射線の生体に与える影響
四 関係法令

 

これらのうち、省略できるものは少ないと思いますので、省略せずにしっかり教育をした方が良いと思います。

 

本来、特別教育を何故実施しなければならないかと言うと、作業に伴う危険が極めて大きいためです。作業主任者の指揮だけでなく、作業者一人一人がリスクをしっかり認識して作業を行う必要が欠かせないという考え方があるからです。

 

ただ、ここで抜けがちなのは作業主任者の選任が不要なケースでは特別教育の実施自体が忘れられて実施されないケースが生じないようにする工夫が必要ということです。つまり、作業主任者がいなければそれに代わる事業者の誰かが特別教育をしないといけません。

 

このように書きましたが、正確に言うとこの表現は正しくありません。何故なら、作業主任者の職務の中に特別教育実施は入っていないためです。ただ、実態として、作業主任者が選任されていれば事業者は作業主任者に特別教育をさせることが通例です。なので、作業主任者の選任が不要なケースに当たるX線装置の導入時に特別教育の仕組みを作っておく必要がある訳です

 

そして、特別教育に関する記録は3年間保存となっていますね。

 

なお、特別教育については、労働衛生コンサルタント試験でもたまに問われます。過去問にたまに出てきたので、電離則を含めた特別衛生規則11本の全てについて特別教育の対象業務を覚えるのは不可能だと思った記憶があります。

 

で、どうしたかと言うと、どうもせずに過去問で出てきたものは覚えておくことしかできませんでした。それくらい、この特別教育の対象業務は多岐に渡っており、個々を覚えることは至難の業だと思います。

 

ただ、口述試験の勉強を経て、特別教育の理念の理解が進んだため、今改めて安衛則第36条に規定された40以上の特別教育の対象業務を見てみるとある程度は納得できるようになりました。

 

本日はここまで。

 

次回は作業環境測定について書いてみたいと思います。

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