改正電離則 おさらい⑥
今回、改めて非密封RIとX線装置に関して、改正電離則の関係個所を調べる機会がありましたので、改正ポイント以外も含めて個人的に気になった部分や気づきを、何回かに分けて備忘的に記載したいと思います。
前回記事では特別教育について記載しました。
今回は、作業環境測定について書いてみたいと思います。
則第53条には作業環境測定を行うべき作業場が規定されています。
(作業環境測定を行うべき作業場)
第五十三条 令第二十一条第六号の厚生労働省令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分
二 放射性物質取扱作業室
二の二 事故由来廃棄物等取扱施設
三 令別表第二第七号に掲げる業務を行う作業場
非密封RIを使用する際には、同条第1項および第2項の箇所をケアすればよいことが分かります。
ここで、第2項の放射性物質取扱作業室について確認しておきたいと思います。放射性物質取扱作業室に関する規定は則第22条に規定されています。
(放射性物質取扱作業室)
第二十二条 事業者(第四十一条の三に規定する処分事業者を除く。以下この節において同じ。)は、密封されていない放射性物質を取り扱う作業を行うときは、専用の作業室を設け、その室内で行わなければならない。ただし、漏水の調査、昆虫による疫学的調査、原料物質の生産工程中における移動状況の調査等に放射性物質を広範囲に分散移動させて使用し、かつ、その使用が一時的である場合及び核原料物質(原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第三号に規定する核原料物質をいう。以下同じ。)を掘採する場合には、この限りでない。2 第三条第四項及び第十五条第二項の規定は、放射性物質取扱作業室(前項の作業室及び同項本文の作業に従事中の者の専用の廊下等をいう。以下同じ。)について準用する。
同条第2項はまたまた出てきました立入禁止の規定(第3条第4項)と放射線装置室の入口への標識の掲示(第15条第2項)ですね。
次に線量当量率等の測定です。これは則第54条に規定されています。
(線量当量率等の測定等)
第五十四条 事業者は、前条第一号の管理区域について、一月以内(放射線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮へい物の位置が一定しているとき、又は三・七ギガベクレル以下の放射性物質を装備している機器を使用するときは、六月以内)ごとに一回、定期に、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定し、その都度、次の事項を記録し、これを五年間保存しなければならない。
一 測定日時
二 測定方法
三 放射線測定器の種類、型式及び性能
四 測定箇所
五 測定条件
六 測定結果
七 測定を実施した者の氏名
八 測定結果に基づいて実施した措置の概要
2 前項の線量当量率又は線量当量は、放射線測定器を用いて測定することが著しく困難なときは、同項の規定にかかわらず、計算により算出することができる。
つまり、1か月以内に1回、外部放射線による線量当量率について測定し、その結果を記録し、5年間保存しなければなりません。
そして、同条第2項には、その実測が著しく困難な場合には計算による算出が認められています。ここで「著しく困難」とはどんな状況かを考えてみたいと思います。外部放射線による線量当量率は専用の測定器があれば測定可能です。それが困難な状況の考え方としては、放射性物質取扱作業室が少ししかないような規模が非常に小さい事業所で、設備投資もままならないような状況となりましょうか。いずれにしても、計算で実施している場合は、それを問われた際に、その理由を説明できるようにしておけばよいと思います。
そして、同条第4項には測定結果の労働者への周知が規定されています。
4 事業者は、第一項の測定又は第二項の計算による結果を、見やすい場所に掲示する等の方法によつて、管理区域に立ち入る労働者に周知させなければならない。
外部放射線による線量当量率についての記録を管理区域に立ち入る労働者に周知せよと規定しています。その方法は「見やすい場所に掲示する等の方法」となっており、これは事業所ごとの事情に応じて対応したらよいと思います。
次に、放射性物質の濃度の測定が則第55条に規定されています。
(放射性物質の濃度の測定)
第五十五条 事業者は、第五十三条第二号から第三号までに掲げる作業場について、その空気中の放射性物質の濃度を一月以内ごとに一回、定期に、放射線測定器を用いて測定し、その都度、前条第一項各号に掲げる事項を記録して、これを五年間保存しなければならない。
ここで規定されている「放射性物質の濃度」とは空気中の濃度のことです。同条第1項と同様に測定結果を記録して5年間保管となっています。
今日はここまで。
次回は健康診断について書いてみたいと思います。