「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集について

2月17日に「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集について」のパブリックコメント募集が出ておりましたので、簡単にご紹介したいと思います。

 

改正の背景については、上記パブコメリンク先の労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案概要に書かれていますので、改正の主旨の一部を下記に抜粋しました。

 

今般、「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告書(令和3年7月19日公表)を踏まえ、今後更なる化学物質による健康障害を防止するため、有機則等により危険性又は有害性等の高い化学物質を個別に特定し、具体的な措置内容を法令で定めていた従来の仕組みを、ラベル表示やSDS交付による危険性又は有害性等に関する情報の伝達及び当該情報に基づくリスクアセスメントによる、事業者が自律的な管理を行うことを基本とする仕組みへ見直すこととし、安衛則及び有機則等について、所要の改正を行うもの。

 

ここで触れられている「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告書(令和3年7月19日公表)は、当ブログでも何回か散発的にご紹介しております。また、当該報告書に基づき法令改正のパブコメ募集は昨年12月16日のパブコメ(2021年12月19日記事で紹介)に続いて2回目になります。

 

これらの動きを見ていると同報告書で提言された内容が着々と法制化に向けて進められていることが伺えます。うかうかしていられませんね。

 

さて、肝心の改正内容ですが、安衛則関係も有機則関係もいずれも上記報告書の核心部分の改正が含まれているように思えます。それは、改正の概要に下記項目に関する内容が含まれているからです。

 

(1)安衛則関係

ア 事業場における化学物質に関する管理体制の強化

イ SDS等による情報伝達の強化

ウ リスクアセスメントに基づく自律的な化学物質管理の強化

エ 化学物質の自律的な管理の状況に関する労使等のモニタリング

オ 化学物質によるがんの把握の強化

(2)有機則等関係

カ 化学物質管理の水準が一定以上の事業場に対する個別規制の適用除外

キ 作業環境測定結果が第三管理区分である事業場に対する措置の強化

ク ばく露の程度が低い場合における健康診断の実施頻度の緩和

 

特に、労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)として注目すべきは、「化学物質管理専門家」に関する記載が所々に出てくることです。例えば、上記ウに関する改正の中には下記のような内容があります。

 

ウ(二)抜粋

化学物質による労働災害が発生した、又はそのおそれのある事業場について、労働基準監督署長が当該事業場の化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると判断し、事業者に改善の指示を行ったときは、事業者は、化学物質管理専門家(化学物質の管理について必要な知識及び技能を有する者をいう。以下同じ。)から、リスクアセスメントの結果に基づき講じた措置の有効性の確認及び望ましい改善措置に関する助言を受けた上で、改善計画を作成し、労働基準監督署長に報告するとともに、当該改善計画に基づき必要な改善措置を実施しなければならないこととする。

 

これは上記報告書でも同様な提言があったと記憶しておりますが、まさにそれが法令へ組み込まれるということです。

 

ただ、同報告書を検討会から受けた厚労省からは、「化学物質管理専門家が現状少ないため、その養成が急務である」と言った課題も出されていたと思います。つまり、法制化の動きはありつつ、この後は、同専門家の養成に向けた動きも活発化される可能性が高いということです。

 

そこで、要チェックなのは公布日と施行日です。今回の法改正の施行日は3つに分かれており、一番早いものは公布日と同日の令和4年5月上旬(予定)、次が令和5年4月1日、最後が令和6年4月1日となっています。

 

上記に抜粋した化学物質管理専門家に関するウ(二)については令和6年4月1日が施行日となっています。その間の動向は今後もウォッチしておき、場合によってアクションを起こす必要も出てきそうです。

 

今回の検討会の報告書の目玉は自律的な管理です。各事業所において、そこに誰がどう寄与するのかも、受け身ではなく能動的に動けるようにしていくことがポイントですね。

 

ということで、今日はここまで。

 

 

 

 

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