労働基準監督制度④
安衛法における労働基準監督制度について調べてみて、分かったことをアウトプットしたいと思います。
前回記事では産業安全専門官、労働衛生専門官について書きました。
今回は監督機関の権限について調べたことをアウトプットしたいと思います。
前回記事で産業安全専門官、労働衛生専門官の権限について触れましたが、労働基準監督官の権限はどのようになっているのでしょうか。それは、安衛法第91条に規定があります。
(労働基準監督官の権限)
第九十一条 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは作業環境測定を行い、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる。
2 医師である労働基準監督官は、第六十八条の疾病にかかつた疑いのある労働者の検診を行なうことができる。
3 前二項の場合において、労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
同条第1項からは、「必要があると認められるときは事業場に立入できる」ので、いつでも立入検査ができるということのようです。前回記事で触れた産業安全専門官、労働衛生専門官の権限もそれぞれ関係する事務等について同様に立入検査ができることとなっていました。
同条第2項には「医師である労働基準監督官」とあります。つまり、労働基準監督官の中には医師免許を持っている方もおられるということのようです。どの程度の人数なのかは不明ですが、都道府県労働局ごととか、労働基準監督署ごとなのでしょうか。産業医のようなイメージなのかなと勝手に想像しました。
また、同条第3項によると立入検査の際には、身分証を携帯し、提示するとあります。刑事ドラマなどでよく見かけるシーンを想像しますが、そんな感じなんでしょうね、きっと。
立入検査の権限発動の端緒については、「労働安全衛生法のはなし」(畠中信夫著、中災防ブックス)に記載があります。
つまり、「監督機関が災害の発生状況その他諸般の事情を考慮して計画的に行う場合のほか、労働災害発生の通報や労働者からの申告を端緒とする場合がある」とされています。
これを素直に解釈するなら、問題事項が発生した場合も含め、いついかなる場合にも立入検査が実施される可能性があるということですね。
先の記事で全国の対象事業所数(400万以上)に対し、年間の立入検査件数が約17万とのことなので、単純に1周するには20年以上かかる計算になることを書きました。計画的に実施される立入検査があるならば、この計算の20年以上に1回となるのだと思いますが、実際には事業所の規模や業種はまちまちなので、その通りにはいかないのだと想像します。
今日はここまで。
次回は権限の続きです。