労働基準監督制度⑤

安衛法における労働基準監督制度について調べてみて、分かったことをアウトプットしたいと思います。

 

前回記事では監督機関の権限のうち、立入検査まで書きました。

 

今回はその続きとなります。

 

安衛法第91条および同第94条の規定にある立入検査が実施された場合に問題事項があったらどうなるのでしょうか。それは法第98条に規定があります。

 

使用停止命令等
第九十八条 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一項若しくは第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項又は第三十四条の規定に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械等貸与者又は建築物貸与者に対し作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができる
2 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、前項の規定により命じた事項について必要な事項を労働者、請負人又は建築物の貸与を受けている者に命ずることができる。
3 労働基準監督官は、前二項の場合において、労働者に急迫した危険があるときは、これらの項の都道府県労働局長又は労働基準監督署長の権限を即時に行うことができる
(4省略)

 

同条第1項の規定の「第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一項若しくは第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項又は第三十四条」とは、安衛法「第四章 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」にあたるものです。すなわち、一定の危害防止基準のことを指します。

 

この一定の危害防止基準に違反する事実があるときは停止命令、使用命令を発することができる訳ですね。

 

さらに同条第3項の規定にある通り、「労働者に急迫した危険があるとき」には「権限を即時に行うことができる」わけです。強力な権限ですね。

 

先の記事で紹介した厚生労働省の「労働基準監督署の役割」という資料には監督指導の状況が書かれています。それによると、「定期監督(主体的、計画的に実施する監督指導)等では、約 68%の事業場において労働基準関係法令違反が認められました。」となっています。衛生関係では「年1回の健康診断を実施していない➡23%」とありました。

 

さらに「なお、これらの法違反のほとんどは、労働基準監督官の指導等によって是正されています。 」との記載もありました。これを読むと、立入検査と、それに基づく行政命令の有効性はあるのだなと考えることができますね。

 

今日はここまで。

 

次回は労働基準監督署の行政的関与について書いてみたいと思います。

 

 

 

 

 

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