医療現場での被ばく管理の問題点@その1

過去のいくつかの記事で医療現場での被ばく管理の問題点について触れてきました。

 

おさらいすると以下の通りです。

・電離則が2021年4月1日に改正施行された。

・改正に至る経緯の中で眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会が開催された。

・検討会では医療現場で被ばく管理が徹底されていない実態が明らかとなった。

・具体的には医師の6割が被ばく線量計を着用していないことが判明した。

 

最後に挙げた点は今年1月にNHKでニュース報道されました。その実態を解明したのは産業医科大学の研究グループでした。

 

これらを踏まえて、その後さらに明らかになった医療現場での被ばく管理の実態についてまとめましたので、数回に分けてアウトプットしてみたいと思います。

 

今回は、今月上旬、またまたNHKが報道したニュース記事を取り上げます。

 

それは、「医師や看護師の被ばく 3割余りの医療機関で管理徹底されず」(2021年6月7日)です。下記はそこからの抜粋となります。

 

厚生労働省は全国8373の医療機関に管理体制について初めての調査を行い、6割余りから回答を得ました。それによりますと、放射線を扱う手術や検査などの際、通常、胸や首元など体の2か所以上に線量計をつけることが法令で決まっていますが、調査で線量計を2個以上配布しているか確認したところ、33.3%の医療機関が必要な個数を配布していないことがわかりました。

また、線量計の適正な装着のために行う周知方法などを複数回答で尋ねたところ、21.0%が「周知などは行っていない」と回答しました。

さらに、通常は放射線を扱うエリアに入らない従事者が一時的に入る場合でも被ばく測定が必要ですが、こうした管理について複数回答で尋ねたところ、15.2%の医療機関が「管理していない」と答えました。

例えば、ほかの医療機関で働いた人を新たに雇用して放射線業務を行ってもらう場合、過去の被ばく量を確認することになっていますが、その把握方法を複数回答で尋ねたところ、15.7%が「把握していない」と回答しました。

 

私は民間企業で電離放射線の管理業務も行っているのですが、正直に申し上げると、この内容はかなり残念な結果です。

 

被ばく線量計の配布を行っていない、適正装着について周知を行っていない、一時立入者の被ばく管理を実施していない、新たに雇い入れる人の過去被ばく履歴を把握していない

 

これってどういうこと? なのでしょうか・・・

 

国のアンケート調査で法令要求事項を堂々と「やってない」と答える神経も凄いと思います。

 

これが事実なら(アンケート回答なので事実だと思いますが・・・)、いずれも法令違反なので厳罰なのではないでしょうか。労基署の立入検査があれば勿論アウトですよね。

 

これは民間企業では考えられないことです。民間企業はコンプライアンスを無視した企業経営が許されない時代背景の中、このようなずさんな管理を日常的に実施していて、それが公的機関に指摘されようものなら、企業名公表による信用失墜だけに留まらず、一部の事業停止など、事業経営にも影響する事態となるからです。

 

医療機関も同じだと思うのですがどうなのでしょうか。意識の問題なのか、医療機関だから許されるのか、いろいろと疑問を感じざるを得ません。

 

医療機関での独特の被ばく形態や事情については私も少しは知っています。しかし、「計画被ばくは管理できるものですよ」と強く言いたい。何なら、私が労働衛生コンサルタントとしてはせ参じていろいろと対策をご指南してもよいくらいです(いつもと違って強気)。

 

ということで今回はここまで。いつになく少し怒りに満ちた強気なわたしでした。

 

次回は続きをお送りします!!

 

 

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