オキュペイショナルハイジニストは労働衛生コンサルタントをどう見ているか?

先日のブログ記事で、経団連の会員を対象に厚労省が実施した「化学物質規制の自律的な管理への見直しに関する説明会」のオンデマンド視聴可能な動画情報についてお知らせしました。

 

すでに動画をご視聴された方の中にはお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、動画の50分当たりから56分頃にかけてご覧いただければ、今回のタイトルについての内容が分かると思います。

 

これは、厚労省の方からの説明の後の質疑応答でのことです。あるオキュペイショナルハイジニスト資格を保有しておられるという方の質問、といいますかご意見、提言のようなものです。あくまで個人のご意見ということでご参考まで。このご意見、提言の背景を知るにはあり方検討会報告書の化学物質管理専門家に関する議論がベースになっているので、その点をご確認下さい。また、上記の動画部分をさらに数分遡るとこの方が他の部分についても意見・提言されておられるのでご参考にされてと思います。

 

この動画部分を拝聴しての私の印象としては、いろいろなご意見があるものだな、と率直に思いました。

 

化学物質管理専門家に関する議論の法制化はこれからなので、実際にどうなるのかは未定ですが、少なくとも言えることとしては、現役のオキュペイショナルハイジニスト(現在数十名しかいない)や労働衛生コンサルタント(化学物質管理を得意分野に挙げている方は数十名のみ)だけでは到底化学物質専門家として対応しきれないだろうということです。カッコ書きの人数については過去ブログ記事で少し詳しく書いているのでご興味のある方はご参照下さい。

 

ですから、あり方検討会報告書で提言されたこれら専門家だけに限らず、もうちょっと門戸を広げ、実務経験を緩和するなどしていかないと折角の自立管理への移行に対して対応しきれない事業所が続出するのではと危惧しています。

 

この方向性については、オキュペイショナルハイジニストや、私を含めた労働衛生コンサルタント(衛生工学)の活躍の幅を狭くすることにはならず、むしろ、その特色をさらに際立たせることに繋がることを期待しています。ただ、そうなるためには、オキュペイショナルハイジニストやコンサルタント自身が研鑽を重ねる必要があるのは言うまでもありません。大事なことは資格ではなく、現場でどのような能力を発現するかではないでしょうか。

 

今回のブログタイトルのことについて最後に申し上げることとして、どうしてもこのような時には縄張り意識が芽生えてしまうものですが、専門家の立ち位置として、決して「木を見て森を見ず」にならないようにせねばと思いました。

 

ということで、今日はここまで。

 

 

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オキュペイショナルハイジニストは労働衛生コンサルタントをどう見ているか?” に対して6件のコメントがあります。

  1. EZ より:

    采々様
    いつも興味ぶかく拝見しています。駆け出しの労働安全衛生コンサルタントです。
    私は、社内で将来化学品管理専門家が必要になると思い、オキュペイショナルハイジニストになるための作業環境測定士の協会による講習に数十万円かけることを考えましたが、実際にリスクアセスメント等の実務を進めることのほうが有効と考えて、労働衛生コンサルタント登録をきっかけに、あえて事業部の労働安全衛生コンサルタントに任命してもらい、計画的に実務を継続しています。
    例の質疑応答、私も先日拝聴しました。一般的な社会人として、あのものの言いようはないですよね。あそこの場で、あの発言をきっかけに、厚労省が「おっしゃる通りです。コンサルは排除します」っていうことはないのに、なぜ発言をするのか?よっぽど身近なコンサルタントに怨恨があったのかも?と思っています。(笑)

    1. 采々 より:

      EZ様
      2回目のコメントをいただきありがとうございます!!
      EZ様が社内で実施されている方向性は正しいと思いますし、とてもすばらしいと思います。是非、頑張って下さいね、勝手ながら応援させていただきます!!
      ところで、例の質疑応答は残念でしたね。明日、あり方検討会に関する別記事をupする予定です。それを見ていただければ、何らかの印象を持たれるかもしれません。
      私は今回の質疑応答のご発言が単なる一個人の意見ではないと感じました。
      EZ様は安全コンサルでもあるのですね。今後も貴重なご意見をいただければ幸いです。どうぞよろしくお願い致します。

      1. EZ より:

        采々様
        早速のコメントありがとうございます。作業環境測定士のプライドなのか何なのか??私の周りのコンサルタントは何も知らないって言ってましたよね。(笑)
        明日の記事も期待しております。

        1. 采々 より:

          EZ様
          コメントありがとうございます。
          コンサルタントの方、コンサルタント会の方は、今回冷静に事態を見ていると思います。
          いろいろな意見があって然るべきだと思うのですが、全体が良くなる方向性を
          考えたいものですね。

  2. まさる より:

    采々様

    お世話になっております。

    私も労働衛生コンサルタント(衛生工学)です。
    確かに入り口の敷居の低さは衛生工学衛生管理者→コンサルタント→ハイジニストかもしれませんね。
    でもその後の知識の向上は人それぞれなので、資格や実務経験年数で区切るのはあまり意味のないことかもしれません。化学の知識に長けた人が、この国の政策転換を支える構図を作らないといけないですね。それを踏まえると、「コンサルタント(保健衛生)」も含めてみてもいいかもしれません。
    有識者の底辺を広げつつ頂点を高くするにはどうするか考えたいですね。

    質問したハイジニスト様はどういった5年後の将来像を描いているのでしょうか?「ハイジニストをもっと養成すべし」だったら私は賛成です。補助金や受講料減額があると嬉しいですね。
    「コンサルタントや衛生工学衛生管理者には任せるなハイジニストだけでやらせろ」だったら、とても残念な質問と言わざるを得ません。全体像が見えていません。
    最後の衛生工学衛生管理者への捨て台詞的なコメントを見ると後者ですかね。

    ところで質問は4つあったのかしら?

    1. 采々 より:

      まさる様
      コメントありがとうございます。
      「有識者の底辺を広げつつ頂点を高くするにはどうするか」というのはとても良い発想だと思いますし、
      仰る通り、知識の向上は人それぞれですよね。

      質問の件は恐らく後者の残念ケースではないかと想像します。
      この方の質問は4つあったと思います。動画開始から45分ぐらいまでが説明、その後に質疑応答が始まり、
      この方が一番目の質問者で冒頭に4つ質問があると言われていました。
      もしご興味があればお時間のあるときにでもご確認いただければと思います。

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