電離則/再勉強/迷宮編 その⑤
これまで何度か改正電離則の内容をおさらいしましたが、今回、どうしても気になることがあって再度勉強することにしました。その勉強したい内容は以下の通りです。
- X線装置の定義は?(ある一定以上の条件があったような・・・それは何だったかな?)⇒前回記事で解決っ!!
- 管理区域の要件は?(管理区域を設けなくてよい条件があったような・・・)⇒前回記事で解決っ!!
- 作業主任者の選任要件は?(選任しなくても良い除外規定があったような・・・)⇒前回記事で解決っ!!
前回までに調べたいことは全て解決したのですが、その調査過程で思わぬ迷宮に入り込んでしまいました。
その迷宮とは何か?ですが、結論を先に書きますと、本当に調べたいことになかなか到達せず、相当回り道をしてやっと結論に辿り着いたということです。なんだか、お馬鹿な私の人生そのもののような感じです・・・。
なぜ、そんなことになったのかも先にネタばらししますと、法令の読み方が甘いからなのです。もう少し違う言い方をしますと、法令条文の調査の入口を間違えてしまうと本当に知りたいことに辿り着けず、迷宮に入り込むことになる!! ということです。
これらは、お馬鹿な私故の所業かもしれず、恐らく普通の方ならこうはならないのかもしれません。しかし、自らの戒めの意味も込めて今回はその迷宮に入り込んだ経緯と顛末をアウトプットしたいと思います。
それは「X線装置の定義は?」の調査のときだった・・・
「電離則/再勉強/迷宮編 その①」の記事で「X線装置の定義」について調べました。その時は、エックス線装置の定義規定についてあっさり調査できたような風で書いたのですが・・・、実はとんでもない迷宮に入り込んでいたのです!!
その時のことを振り返りますね。
電離則第10条にエックス線装置に関する規定があることは何度も書いた通りですが、もう一回見て下さい。
(照射筒等)
第十条 事業者は、エックス線装置(エックス線を発生させる装置で、令別表第二第二号の装置以外のものをいう。以下同じ。)のうち令第十三条第三項第二十二号に掲げるエックス線装置(以下「特定エックス線装置」という。)を使用するときは、利用線錐すいの放射角がその使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにするための照射筒又はしぼりを用いなければならない。ただし、照射筒又はしぼりを用いることにより特定エックス線装置の使用の目的が妨げられる場合は、この限りでない。
この則第10条の赤字で示した部分がエックス線装置の定義規定となっているのですが、一見すると定義規定とは気づきにくいのです。その理由は以下の通りです。
- 則第2条に独立した定義規定があるのですが、ここにはエックス線装置のことは書かれていない。
- 解説
- 電離則の中でエックス線装置の定義を調べようとした場合に、法令に慣れた方なら、まず定義規定を探そうとするはずです。そしてその定義規定とは第1条の目的規定の次の第2条に置かれることが多いです。電離則でもその王道の体裁に準じています。しかし、この定義規定内にエックス線装置の定義規定は見当たりません。
- 解説
- 則10条は電離則の目次では「第三章 外部放射線の防護」の中で「照射筒等」という見出しが付けられており、ここに定義規定があるとは到底気づかない。
- 解説
- 上記1の解説の通り、まずは定義規定で目的の定義を探すのですが、ネット経由で法令を調べた方が何かと便利な世の中なので、当然ながら電離則のe-GOV(法令検索)を私も利用しております。その電離則の中で「エックス線装置」で検索をかける訳です。そうすると28件ヒット(本日2021.7.25現在)します。そのヒットした1番目に則第10条のエックス線装置がある訳です。でもでも、則第10条の見出しが「照射筒等」となっており、よもや、ここにエックス線装置の定義規定があるとは思わず、見過ごしてしまうのです(勿論、ヒットした1件1件をしっかりみていけば気づくことも可能なのですが・・・)。お馬鹿な私はしっかり見過ごしてしまいました・・・。
- ちなみに参考までですが、第2条の定義規定のようなフォーマルなもの以外に隠れ定義と呼ばれる定義規定というのが存在しているようです(「法令読解ノート」鼻中信夫著、社団法人全国安全基準関係団体連合会、P33-35)。このエックス線装置の則第10条での定義はまさに隠れ定義の体裁をとっています。それ故に、隠れ定義の場合には調べている側にとっては分かりにくいことこの上ないと思います。
- 解説
エックス線装置の定義を調べる初期の段階で上記のような経緯を辿りました。
そして、エックス線装置の定義規定が見つからないな~、と思った私は、一旦、エックス線装置の定義のことは置いておいて、今回調べたかった他の項目の中から、エックス線作業主任者の選任要件の調査を始めたのです。
しかし、これが迷宮に入り込む要因となってしまいました・・・のです。
ということで今日はここまで。
次回は続きを記載します。