化学物質管理専門家の要件 05

数回シリーズで、化学物質管理専門家の要件をおさらいしています。

 

既にお示しした通り、専門家告示により示された化学物質管理専門家の要件は以下の通りです。

 

① 労働衛生コンサルタント試験(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る)に合格し、登録を受けた者で、5 年以上、化学物質の管理に係る業務(粉じん則の適⽤除外の際には粉じんの管理に係る業務)に従事した経験を有するもの

② 衛⽣⼯学衛⽣管理者免許を受けた者で、その後 8 年以上、衛⽣⼯学衛⽣管理者の業務に従事した経験を有するもの

③ 作業環境測定士で、6 年以上作業環境測定士としてその業務に従事した経験を有し、かつ、厚⽣労働省労働基準局⻑が定める講習を修了したもの

④ ①から③までに掲げる者と同等以上の能⼒を有すると認められる者

 

前回までの4回で上記要件①について深堀しました。

 

今回は要件②について深堀してみたいと思います。

 

残念ながら、過去記事の化学物質管理専門家の要件03で取り上げた専門家告示の通達(解釈例規)には要件②についての直接的な記載がありません。

 

そこで、要件②については、過去記事の化学物質管理専門家の要件04で取り上げた専門家告示の同パブコメ(*1)が参考になります。

 

*1:「「労働安全衛生規則第三十四条の二の十第二項、有機溶剤中毒予防規則第四条の二第一項第一号、鉛中毒予防規則第三条の二第一項第一号及び特定化学物質障害予防規則第二条の三第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(案)」及び「粉じん障害防止規則第三条の二第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(案)」に関する意見募集について」に対して寄せられた御意見について

 

同パブコメの番号1の「御意見に対する考え方」にその見解があるので以下に抜粋します。

 

(前略)衛生工学衛生管理者については、法定の講習科目の中に、リスクアセスメントの実施を含めた労働衛生工学に関する知識、職業性疾病の管理に関する知識、労働生理に関する知識が含まれています。また、衛生工学衛生管理者は、労働者が 500 人を超え、かつ、有害業務に常時 30 人以上の労働者を従事させている事業場において選任が義務付けられるものであり、8年間の実務経験により、化学物質管理に関する知識を蓄えることができると考えています。(後略)

 

同パブコメにはその他にも衛生工学衛生管理者に関する記載が点在しますが、概ね、上記抜粋に示した議論に終始しています。また衛生工学衛生管理者の業務についてはここでは割愛させていただきます。

 

要件②について特に重要と考えられるのは「8年以上の実務経験」についてです。8年の起点がどこになるのかですが、この資格取得後の年数ということになります。

 

というのは、過去記事の化学物質管理専門家の要件03で取り上げた労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)の要件①の「5年以上」は「当該資格取得の前後を問わないこと」と但し書きされているのですが、衛生工学衛生管理者の8年以上の実務経験については、専門家告示により要件②に記載の通り「衛⽣⼯学衛⽣管理者免許を受けた者で、その後 8 年以上・・・」と記載されているからです。

 

ということで、今日はここまで。

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