化学物質管理専門家の要件 07
数回シリーズで、化学物質管理専門家の要件をおさらいしています。
既にお示しした通り、専門家告示により示された化学物質管理専門家の要件は以下の通りです。
① 労働衛生コンサルタント試験(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る)に合格し、登録を受けた者で、5 年以上、化学物質の管理に係る業務(粉じん則の適⽤除外の際には粉じんの管理に係る業務)に従事した経験を有するもの
② 衛⽣⼯学衛⽣管理者免許を受けた者で、その後 8 年以上、衛⽣⼯学衛⽣管理者の業務に従事した経験を有するもの
③ 作業環境測定士で、6 年以上作業環境測定士としてその業務に従事した経験を有し、かつ、厚⽣労働省労働基準局⻑が定める講習を修了したもの
④ ①から③までに掲げる者と同等以上の能⼒を有すると認められる者
前回記事では要件③について深堀しました。
さて、今回からは要件④について深堀してみたいと思います。実はこの要件④からがこの深堀のポイントだと思っています。では、行ってみましょう!
要件④は読んで字の如く「①から③までに掲げる者と同等以上の能⼒を有すると認められる者」を規定したものですが、さて「同等以上の能力を有するとは誰のことなの?」となりますよね。
そこで、専門家告示の通達(解釈例規)の登場です。
同通達の「第2 細部事項」「2 専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)関係」「(2)同等以上の能力を有すると認められる者(専門家告示(安衛則等)第1号ニ関係、専門家告示(粉じん則)第4号関係)」に詳しい記載があります。その内容を以下に抜粋しました。
(2)同等以上の能力を有すると認められる者(専門家告示(安衛則等)第1号ニ関係、専門家告示(粉じん則)第4号関係)専門家告示(安衛則等)第1号ニ及び専門家告示(粉じん則)第4号で規定する「同等以上の能力を有すると認められる者」については、以下のアからオまでのいずれかに該当する者が含まれること。
ア 法第 82 条第1項の労働安全コンサルタント試験(試験の区分が化学であるものに限る。)に合格し、法第 84 条第1項の登録を受けた者であって、その後5年以上化学物質に係る法第 81 条第1項に定める業務(専門家告示(粉じん則)第4号においては、粉じんに係る法第 81 条第1項に定める業務)に従事した経験を有するもの
イ 一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会が運用している「生涯研修制度」によるCIH(Certified Industrial Hygiene Consultant)労働衛生コンサルタントの称号の使用を許可されているもの
ウ 公益社団法人日本作業環境測定協会の認定オキュペイショナルハイジニスト又は国際オキュペイショナルハイジニスト協会(IOHA)の国別認証を受けている海外のオキュペイショナルハイジニスト若しくはインダストリアルハイジニストの資格を有する者
エ 公益社団法人日本作業環境測定協会の作業環境測定インストラクターに認定されている者
オ 労働災害防止団体法(昭和 39 年法律第 118 号)第 12 条の衛生管理士(法第 83 条第1項の労働衛生コンサルタント試験(試験の区分が労働衛生工学であるものに限る。)に合格した者に限る。)に選任された者であって、5年以上労働災害防止団体法第 11 条第1項の業務又は化学物質の管理に係る業務を行った経験を有する者
では順次みていきましょう。
まず、アでは労働安全コンサルタント(試験の区分が化学であるものに限る)が同等以上の能力を有する者として規定されています。そしてポイントとしてはコンサルタントとして登録後に5年以上の実務経験がいるので注意が必要です。過去記事の化学物質管理専門家の要件 03で労働衛生コンサルタントの要件①の「5年以上」は「当該資格取得の前後を問わないこと」とは条件が異なるということです。
衛生が有害性を対象とするのに対し、安全は危険性を対象にしていると理解しています。その観点から言うと、労働安全コンサルタント(化学)の方は化学物質の危険性についての専門家だと言うことができると思います。化学物質の自律管理移行ではとかく化学物質の持つ有害性の議論に焦点が当たりがちですが、化学物質の持つ燃焼や爆発といった危険性のことも考慮せねばなりません。その点を理解している方は衛生分野には少ないと個人的には思っているので、労働安全コンサルタント(化学)が専門家要件に合致するという考え方は「あり」だと思っています。
次にイの要件です。日本労働安全衛生コンサルタント会の「生涯研修制度」でCIH(Certified Industrial Hygiene Consultant)労働衛生コンサルタントの称号の使用許可をいただくには、いくつか条件があります。まず、コンサルタント会に入会すること、その上で、生涯研修制度に参加すること、そして、5年間のうちに250CPD時間以上を獲得し、申請し許可されることなどです。つまり、称号使用許可を得たものとは一定以上の研鑽を積んだ者ということです。産業医や他の士業でも同様の制度がありますよね。
専門家要件①では“CIHではない”労働衛生コンサルタントのことが規定されており、5年以上、化学物質の管理に係る業務に従事した経験を有するものとされています。このことと、このイの要件を比べると、CIHは5年以上化学物質の管理に係る業務に従事した経験と同格との扱いを受けていると見ることができます。これも個人的は「あり」だと思います。
ということで、今日はここまで。
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いつもお世話になっております
ご参考までに。現在職場内で化学防護手袋の選定調査をおこなっていますがあまりいい参考書、ホームページが見つかりません。来月以降に保護具に関する保護具着用管理責任者テキストが(公社)日本保安用品協会より出される模様です。
出展先 一般社団法人 茨城労働基準協会連合会 ホームページより
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https://roukiren-ibaraki.or.jp/%e4%bf%9d%e8%ad%b7%e5%85%b7%e7%9d%80%e7%94%a8%e7%ae%a1%e7%90%86%e8%80%85%e7%a0%94%e4%bf%ae/
令和5年度より、テキストは(公社)日本保安用品協会発行のものを使用する予定としています。
しかし、実際の発行は5月連休明けとされ、発行日、テキスト代等はなお確定に至っておりません。
そこで、令和5年5月10日(水)を目途に、(公社)日本保安用品協会に再度照会を行い、その上で、テキストの使用の有無等を決定させていただければと考えています。結果は、本ページ内に公開させていただきます。
使用する場合には、別途請求書(テキスト代分)をお送りさせていただくようにさせてください。
なお、テキスト代のお支払いは、教育受講日以降でも結構です。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
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令和5年5月10日更新:照会の結果、テキストの発行が6月以降になりました。そのため、直近開催分につきましては、当連合会で用意する資料等を使用いたします。ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
T31さん
いつも先取り情報ありがとうございます!
自律管理とは言いつつ、いろいろなテキストが次々に出てきますね。