「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」レビュー時の気づき
先日の記事で「「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案」及び「労働安全衛生規則及び特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集について」の背景事象としての「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」が作成した報告書について触れました。
その報告書が本年7月にリリースされた際に、報告書の中身をレビューしたのですが、その時に感じた「重要なことをさらりと書いてある箇所を見つけたこと」について今回ご紹介したいと思います。
先に結論を書きますと、その重要なことというのは「保護具の使用に関する考え方がこれまでよりもより上位の位置づけになったのかな?」と思ったことです。
まず、保護具の使用に関する基本的なことですが、安衛則や各種特別衛生規則では保護具の使用・着用が義務化されている有害作業がいくつも規定されています。
また、リスクアセスメントを実施してリスク有りとなった場合のリスク低減の順位で言いますと、保護具の着用は最終順位に位置付けられます。
1.設計や計画の段階における危険性又は有害性の除去又は低減
2.工学的対策
3.管理的対策
4.個人用保護具の使用
つまり、4は上記1~3の措置を講じた場合においても、除去・低減しきれなかったリスクに対して実施するものに限られるとされています。この考え方はコンサルタント試験にもバッチリ出てくる基本的な考え方であり、十分リーズナブルだと思います。
ただ、実際の現場ではどうかというと、1,2の対策はコストがかかったり、場所をとったりするため、最初からそのことを考えていないと対策が難しいケースが多いのが実情です。ですから、3,4の対策をとるケースが多いのではと思います。
特に4の保護具の使用というのは、対策として安易に取らないようにというのは理解しつつも、仮にリスクアセスメントをした上でリスクが小さかったとしても保護具の使用をしないという考え方の事業所や労働者は少ないのではないかと思います。
ですから、今回の検討会の趣旨である「法令による規制の対象となっていない物質による労働災害を防止するため」には、保護具の着用を義務化することは重要な対策だと思いますし、検討会報告書の中身が、現場の実情にも沿うようになったのかなと思いました。
ここまでは特に違和感の無い内容ですが、検討会の報告書の論調から、保護具の着用の重要性が上がったとも考えられることから、上記のリスク低減の順位について何等かの変化があるのかな?と思った次第です(例えば4の記載が場合によってはより上位に来るなど)。
実際には何も変わらないとは思いますが、今後、この検討会報告書の中身がどのような形で法制化されてくるのかはウォッチしておかなければと思いました。
ということで、今日はここまで。