有機溶剤中毒予防規則/適用除外規定 06
数回シリーズで有機溶剤中毒予防規則(以下、有機則)の適用除外規定についてインプットしたことをアウトプットしたいと思います。
前回記事(2022年1月16日)では有機則第2条第1項第1号の規定の中の、消費する有機溶剤等の区分と有機溶剤等の許容消費量について実際に計算結果を示しながら説明しました。
今回は、適用除外のもう一つの条文となる有機則第3条ついてアウトプットしてみますね。
では、有機則第3条の規定です。
第三条 この省令(第四章中第二十七条及び第八章を除く。)は、事業者が第一条第一項第六号ハからルまでのいずれかに掲げる業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該業務については、適用しない。この場合において、事業者は、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)の認定を受けなければならない。
一 屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所において当該業務に労働者を従事させる場合で、作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常態として超えないとき。
二 タンク等の内部において当該業務に労働者を従事させる場合で、一日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常に超えないとき。
2 前条第二項の規定は、前項第一号の作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量及び同項第二号の一日に消費する有機溶剤等の量について準用する。
今回も先と同様に赤字で示した柱書部分から順番に見ていきましょう。
第2条と同じく、第3条の柱書にも、その適用除外を受けることができる規定、業務、条件が書かれています。
最初に、適用除外を受けることができる規定ですが、それは、「第四章中第二十七条及び第八章を除く」と書かれています。
もう少し分かりやすくするために、有機則の目次と照らし合わせてみると、適用除外を受けるのは下記赤字および青字の部分となります。
第二章 設備(第五条―第十三条の三)
第三章 換気装置の性能等(第十四条―第十八条の三)
第四章 管理(第十九条、第十九条の二、第二十条―第二十三条、第二十四条から第二十六条、第二十七条)
第五章 測定(第二十八条―第二十八条の四)
第六章 健康診断(第二十九条―第三十一条)
第七章 保護具(第三十二条―第三十四条)
第八章 有機溶剤の貯蔵及び空容器の処理(第三十五条・第三十六条)
第九章 有機溶剤作業主任者技能講習(第三十七条)
つまり、有機則の大部分が適用除外となる訳ですね。ちなみに赤字部分は則第2条と同一で、青字部分が則第3条でのみ適用除外を受けることができるものです。ちなみに黒字部分(第27条(事故の場合の退避等)、第35条(有機溶剤等の貯蔵)、第36条(空容器の処理))は適用除外を受けることはできないということです。
参考までに、青字部分の章と見出しだけを下記に抜き出してみました。
第四章 管理
(局所排気装置の定期自主検査)第20条
(プッシュプル型換気装置の定期自主検査)第20条の2
(記録)第21条
(点検)第22条
(補修)第23条
第五章 測定
(見出し略)
第六章 健康診断
(見出し略)
管理の一部(定期自主検査や記録など)、測定、および、健康診断となります。これらは以下の条件をクリアすれば適用除外を受けることができるという訳ですね。
次に、除外規定を受けることができる業務についてですが、「事業者が前条第一項第六号ハからルまでのいずれかに掲げる業務に労働者を従事させる場合において」と書かれています。これらは、先の記事(2022年1月10日)にアウトプットした則第2条の柱書と同一となるため、詳細はそちらをご覧いただくとして、ここでは説明を割愛します。
最後は、除外規定を受けることができる条件ですが、「次の各号のいずれかに該当するときは、当該業務については、適用しない。この場合において、事業者は、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)の認定を受けなければならない。」と書かれています。
つまり、第3条柱書以降に第1号および第2号が列記されていますが、そのいずれかに該当するときは適当しない、ということで、ここまでは則第2条と同様です。ただし、則第2条との大きな違いは、このことについて所轄労働基準監督署長の認定を受けなければ、適用除外にならないということです。
ということで、今日はここまで。
次回は続きをアウトプットする予定です。