作業環境測定を一から十まで自分でやってみようと思うのですが 09

昨年、第2種作業環境測定士の登録講習を終え、晴れて第2種作業環境測定士になりました。当初は自ら作業環境測定をするつもりはありませんでしたが、今後、自分でやってみようという気になりました。そこで、自分でやる時にどうすればよいのか、手順を一通り確認して整理しておこうと思いました。そこで、今回調べたことを数回シリーズでアウトプットしていこうと思います。

 

前回は、作業環境測定基準第13条第2項の規定から使用できる検知管の精度や干渉ガスについて確認しました。

 

今回も、有機溶剤の濃度測定を理解するべく、引き続き作業環境測定基準第13条を見ていきたいと思います。

 

では、基準第13条第3項の規定です。

 

3  前二項の規定にかかわらず、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる物(特別有機溶剤 (令別表第三第二号3の3、18の3、18の4、19の2、19の3、22の3又は33の2に掲げる物にあつては、前項各号又は第十条第二項第五号、第七号若しくは第九号から第十一号までに掲げる物を主成分とする混合物として製造され、又は取り扱われる場合に限る。以下この条において同じ。)を含み、令別表第六の二第二号、第六号から第十号まで、第十七号、第二十号から第二十二号まで、第二十四号、第三十四号、第三十九号、第四十号、第四十二号、第四十四号、第四十五号及び第四十七号に掲げる物にあっては、前項各号又は第十条第二項第五号、第七号若しくは第九号から第十一号までに掲げる物を主成分とする混合物として製造され、又は取り扱われる場合に限る。以下この条において「有機溶剤」という。)について有機則第二十八条の二第一項(特化則第三十六条の五において準用する場合を含む。)の規定による測定結果の評価が二年以上行われ、その間、当該評価の結果、第一管理区分に区分されることが継続した単位作業場所については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合には、当該有機溶剤の濃度の測定(特別有機溶剤にあつては、特化則第三十六条の五において準用する有機則第二十八条第二項の規定に基づき行うものに限る。)は、検知管方式による測定機器又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いる方法によることができる。この場合において、当該単位作業場所における一以上の測定点において第一項に掲げる方法(特別有機溶剤にあつては、第十条第一項に掲げる方法)を同時に行うものとする

 

この条文は長くて、しかも括弧書きの多い難解な日本語となっているので、括弧書きを除く赤字部分だけで見ていくことにしたいのですが、この赤字部分を字面通り解釈してもなおこの条文はやはり意味がはっきりしません。

 

というのも、字面通りなら、「所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合」という条件が関係ないのなら、この条文は読み飛ばしてもよいように読めます。

 

しかし、この条文の意味するところはそれだけではないようです。というのも、当該条文には解釈例規があり、それを見ると簡単に読み飛ばせる内容ではなく、重要なことが書かれているからです。では、解釈例規の内容を見ていきたいと思います。

 

基発第六〇四号/抜粋

10 第一三条第三項関係

(1) 本項の趣旨は、妨害物質が存在し、前項の測定ができない場合であっても、一以上の測定点において第一項に掲げる方法を同時に行うことを条件に検知管方式による測定機器を用いる方法を認めることを規定したものであること。

(2) 本項括弧書の趣旨は、検知管が測定対象物質以外の物質にも反応することを利用し、前項において検知管方式による測定機器を用いる方法を認められている物質を主成分とする混合物として製造され、又は取り扱われる場合に限り、当該主成分の物質に係る検知管を用いて同時に測定を行うことを認めたものであること。したがって、括弧内の物質が単独で製造され、又は取り扱われる場合、又は前項において検知管方式による測定機器を用いる方法を認められている物質以外の物質を主成分とする混合物として製造され、又は取り扱われる場合にあっては、本項は適用されないものであること。

(3) 本項の許可を受けた後の測定には、当該有機溶剤(混合物として製造され、又は取り扱われる有機溶剤の測定にあっては、主成分である有機溶剤)の管理濃度の一〇分の一の濃度まで精度良く測定できる検知管を使用すること。

 

まず(1)については、基準第13条第2項の後段の妨害物質(干渉ガス)に関することへの対応について言及されています。つまり、妨害物質があって、検知管法が使用できない場合であっても、検知管法以外の方法を併用すれば検知管法が使用できるというものです。

 

これをn-ヘキサンをガステックさんの検知管で測定するケースで考えてみると以下の通りとなります。

 

n-ヘキサン用の検知管102Lの干渉ガスとして、二酸化イオウ、硫化水素、アセチレン、アルコール類,エーテル類,エステル類、C3以上の有機溶剤および芳香族炭化水素があります。これらが単位作業場で使用されていても、最低5つの測定点のうちいずれか一か所の測定点で下記に示す方法を同時に測定することで検知管法は使用できるということです。

 

別表第二(第十三条関係)

物の種類 試料採取方法 分析方法
ノルマルヘキサン 固体捕集方法又は直接捕集方法 ガスクロマトグラフ分析方法

 

ちなみに、上記別表第二については過去記事「作業環境測定を一から十まで自分でやってみようと思うのですが 06」で触れておりますのでご参考まで。

 

ただ、私がよく分からないのは、例えば、残り4つの測定点で検知管法を用いたとして、その値から干渉ガスの値を差し引くようなことが必要なのか否かということです。解釈例規からはそのことは読み取れませんでした。今後の課題にしたいと思います。

 

次に解釈例規(2)です。これがまたまた難解な言い回しをされていますが、私が今回の前提にしているのは純度の高いn-ヘキサンについての作業環境測定をイメージしていますので、当該解釈例規の「したがって」以降の内容からしますと、妨害物質の懸念の無い場合には検知管法だけでの運用が可能であり、わざわざ(1)のような比較のための別の測定法を用いる必要はないというように解釈できます。

 

ただし、このことは基準第13条第3項の括弧書きについての趣旨を述べているにすぎないことから考えると、例え、純度の高いn-ヘキサンを用いたとしても、単位測定場所に他の妨害物質が混在しているならば、当該条文に準じて実施と解釈され、結果、解釈例規(1)と同じことをせざるを得ないと思われます。

 

最後に(3)です。これは読んで字の如くかと思いますし、所轄労働基準監督署長の許可を受けていない前提で今回は考えていますので、特に問題のない内容かと思います。

 

以上、基準第13条第3項について見てみましたが、条文だけでは分かり難くく、その解釈例規も難しかったです。解釈例規が解釈し難いというのもどうかと思う今日この頃です(単に私がお馬鹿で理解力が無いだけという説もありますが・・・)。

 

ということで、今日はここまで。

 

 

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