労働基準監督制度⑧
安衛法における労働基準監督制度について調べてみて、分かったことをアウトプットしたいと思います。
前回記事では労働基準監督署の行政的関与のうち事前審査、事前監督について書きました。
今回は労働基準監督署の行政的関与のうち報告、出頭について書いてみたいと思います。
安衛法第100条には報告等の規定があります。
(報告等)
第百条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、登録製造時等検査機関等に対し、必要な事項を報告させることができる。
3 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
この規定に基づく報告には、定型化された報告と、個別報告の2通りがあります。
前者の定型化された報告とは、各規則の中で規定されている諸般の報告義務を指しており、例えば、電離則では第58条に電離放射線健康診断の結果報告義務が規定されています。
(健康診断結果報告)
第五十八条 事業者は、第五十六条第一項の健康診断(定期のものに限る。)又は第五十六条の二第一項の健康診断を行つたときは、遅滞なく、それぞれ、電離放射線健康診断結果報告書(様式第二号)又は緊急時電離放射線健康診断結果報告書(様式第二号の二)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
一方、後者の個別報告とは、必要があるときに個別に報告を求めるもので、例えば、安衛則第98条のような規定があります。
(報告)
第九十八条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、法第百条第一項の規定により、事業者、労働者、機械等貸与者又は建築物貸与者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずるときは、次の事項を通知するものとする。
一 報告をさせ、又は出頭を命ずる理由
二 出頭を命ずる場合には、聴取しようとする事項
法第100条第3項には労働基準監督官に対しても、報告、出頭命令権が与えられている訳です。
なお、当該報告、出頭命令権は行政上の監督のためのものであり、法第92条の規定にある司法警察職員としての職務遂行のためのものではないということのようです。
(労働基準監督官の権限)
第九十二条 労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員の職務を行なう。
今日はここまで。
次回は労働基準監督制度について最終回の予定です。
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